《風景考察 01》“Landscape Considerations 01” (2020)
「風景考察 01」(Landscape Considerations 01)に寄せて
永友悠稀(Yuki Nagatomo)
青と緑が覆う空間を漂い流れていると、ふとした瞬間、色彩が鮮やかになり人間と機械の音が入り込んでくる。
横浜において、〈自然〉と〈人工〉の境界線は突然あらわれた。
幾重にも複雑をなしているけれども、輪郭のはっきりとした風景画がこの街を表現していた。
横浜駅から東急線に乗って和光市へ降り立つと、不思議な感覚に覆われた。
この場所では〈自然〉と〈人工〉が融合していた。違和感のない、という違和感。
「まち」や「都市」の在り方はひとつではない。
和光市から朝霞市へ、そして果てしなく思えるような荒川沿いの一本道を延々と歩いていくと、志木市に辿り着いた。
時刻は19:00過ぎ。高所から街全体を眺めると、点在した光が、あるいは横浜の景色と重なり・混ざりあいながら、
ここにはない未知の風景を想像する手がかりをもたらしてくれた。
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およそ1年が経過し、さまざまな変化や事件によって仮想世界が拡大した2020年初夏。
2027年にリニア駅が開業することで脚光を浴びている神奈川県相模原市・橋本駅から、
東京都八王子市の高尾山へ向かう。
電車の中から窓の外側を眺めると、グラデーションのように変化する〈自然〉と〈人工〉の様相に、
これからの都市はどうなるのだろうか、そして、人も街も、どうすればいいものかと思考させられる。
そして同時に、1年前には考えもしなかったこと、
つまりはデジタルとアナログの差異と行く先について、思索せずにはいられない。
五感、あるいは五感を超越した何か。人の知覚と運動の行き着く先。思索、想像、創造。
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〈自然〉と〈人工〉の融合/分裂。これからの都市の在り方/遣り方。デジタルとアナログ・仮想と現実の行方。
いずれにせよ、本作品が、何がしかの思考の契機になれば幸いです。